リッパー・ファンド・アワードとは?


ニッポンの凄い投資信託 リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016

リッパー・ファンド・アワードの概要と受賞ファンドの傾向

投資家の視点に立った中立かつ定量的な情報で
世界の金融市場の高度化に貢献

トムソン・ロイター・マーケッツ 執行役員 市場開発本部長 渡邊竜士氏

世の中にさまざまな投資信託のアワードがある中で、「リッパー・ファンド・アワード」はどのような基準でファンドや運用会社を選定し、その評価基準は投資家にどのような価値を提供するのでしょうか。リッパー・ファンド・アワードの概要とリッパーの歴史、今回のアワードの特徴について、トムソン・ロイター・マーケッツの渡邊竜士氏に紹介してもらいました。

収益一貫性の評価軸で表彰

thomsonreuters

 投資信託のデータ、調査、そして評価で世界をリードするトムソン・ロイター・リッパー(LIPPER)は2016年3月23日(水)、業界のプロフェッショナル約300名を集めたイベントを都内で開催しました。ニューヨークやロンドン等の主要国際金融センターで行われている形式同様、投資信託業界の課題を議論するリッパー・アルファ・フォーラムと、前年の優秀ファンドや運用会社を表彰するリッパー・ファンド・アワードの二部構成となりました。

 米国でリッパー・アナリティカル・サービス(トムソン・ロイター・リッパーの前身)が1973年に設立後、その歴史は常に投信業界の投資調査・分析の成長と共にあります。また、業界スタンダードとなり得た理由をたどると、その中立性(運用会社、販売会社、投資家等、どのユーザーにも価値があり、偏りのない情報)、かつ定量的という特徴が見えてきます。

 20年ほど前、リッパーは5つの定量的な評価軸(総合収益性・収益一貫性・元本保全性・経費率・そして税効果(※)を世界各国同じ基準で導入しました。行動ファイナンスでは、大衆は「利益を喜ぶ」よりも「損失を恐れる」ことが分かっております。リッパーは投資家の視点から“リスク”を定量的にデータ化したのです。

 投資リターンやシャープレシオといった単純計算、そして主観に基づく定性的評価が主流だった1990年代、前述の独自調査と新しい評価基準は業界水準を塗り替えました。

 リッパー・ファンド・アワードの歴史も30年(日本では15年)を超えてきましたが、ここでも複数期間におけるリスク調整後リターンを標準化した収益一貫性(Consistent Return)の評価軸で表彰しております。また、今後の環境の変化を先取りし、日本でも2015年からDC(確定拠出年金)部門が設けられました。

※……特定地域のみで、日本は含まない

長年信頼されてきた投資のパートナー

 情報サービスもアワードも同様ですが、リッパーは常に金融市場の高度化(成熟化)に貢献しています。機関投資家・運用アドバイザー・そして個人投資家に対し、それぞれの視点からのリスクを独自の手法で明確化し、新たなる評価基準を提供してきました。

 一般的な投信投資家だけでなく、エリサ法制定後(1970年代後半~80年代)の米国で進んだ確定給付型退職年金から確定拠出型(401k)への移行をサポート、さらには最新のETF業界に対する調査等、社会にとって常に重要な役割を果たしてきました。日本でも確定拠出年金(DC)の拡大が話題に挙がる昨今、リスク性金融商品の広まりや金融リテラシーの向上にとって鍵となる情報・データサービスです。

 また、リッパー・ファンド・アワードの発表は数多くのメディア、ウェブサイト、バナー広告を通じて広く取り上げられて、投資家の視点に立った定量的な基準により、良いパフォーマンスを達成した運用担当者、ファンド、そして運用会社を社会にアナウンスする重要な役割を担っています。公平性そのものが価値となっている点が大きな特徴です。

得意分野に特化する傾向と長寿ファンドの増加

 カテゴリー毎に最優秀ファンド賞を128ファンド、運用会社賞8社を発表いたしました。内訳は、個別ファンド部門と投資信託部門で98本、確定拠出年金部門で30本です。

 受賞したそれぞれのファンドについては弊社Webサイトにて確認いただけますが、受賞ファンドのうち、約46%が昨年に引き続いての受賞になります。運用会社の大小問わず、各社それぞれ特定の得意分野へのこだわりが見え始めてきています。金融庁も各運用会社がそれぞれコアとなるファンドをつくるよう指導しておりますが、REIT、高成長国、テクノロジー等々、それぞれ得意な分野で他社と差別化している資産運用会社が増えています。

 毎月分配型ファンドは相変わらず人気を集めておりますが、新設が減少しています。分配を1-2回に抑えた中長期成長を目指すものが増えるトレンドにあります。本年度の特徴の一つとして、運用期間が10年超の所謂「長寿ファンド」の増加傾向も挙げられます。

定性か定量か、データの「素性」の確認を

 2014年に少額投資非課税制度(NISA)が始まり、今年になりジュニアNISAも登場。日本銀行は2%の「物価安定の目標」をできるだけ早期に実現するため、マイナス金利付き量的・質的金融緩和を導入。導入されて約15年経つ確定拠出年金制度の拡充も頻繁に話題に挙がっています。

 投資初心者、または投資家として学ぶべき基礎知識は膨大にあります。その中でも、参考にする情報やデータの「素性」を常に確認することはとても重要です。投資信託の評価に至っては、定性的な判断による評価なのか、それともリッパーのような定量的な分析に基づいたデータなのか、常にご確認いただいた上で資産運用に役立てていただきたいと考えております。