リッパー・ファンド・アワード授賞式


ニッポンの凄い投資信託 リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016

リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016授賞式レポート

NISAの導入・確定拠出年金制度の進展は
投資家の裾野拡大を推し進める好機

トムソン・ロイターは2016年3月23日、優れたファンドと運用会社を選定・表彰する「トムソン・ロイター リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016」の受賞式を、東京・千代田区のパレスホテル東京で開催しました。同時開催されたセミナーでは、各スピーカーが日本の投信マーケットのトレンドや資産運用をテーマにそれぞれの見解を語りました。(文・写真/編集部)

国内経済発展のカギを握る投信ビジネスの転換

セミナーの様子

 プログラムの冒頭では、「マクロトレンド貯蓄から投資へ:我が国資産運用ビジネスの発展に必要なこと」のテーマで、ゆうちょ銀行取締役兼代表執行役社長の長門正貢氏による基調講演が行われた。今後、「貯蓄から投資」を広めるために販売会社に求められる姿勢について長門氏は、「販売会社は資産運用に適したファンドの厳選・育成に注力すると同時に、個人に対する投資教育を推し進めることで、長期投資の促進と投資の浸透を目指すべき。家計資産の中で、株式や投資信託などのリスク性資産の割合が増加すれば金融市場が活性化し、国内経済の成長につながる」と語った。

 続いて、トムソン・ロイター・マーケッツの執行役員で市場開発本部長の渡邊竜士氏が、「日本におけるファンド動向と受賞ファンドの特徴」を解説した。「2015年度の日本は、合計約1310億ドルの流入となった。特に、日本株や円建てMMF(マネー・マネージメント・ファンド)の資金流入が目立つ結果となった。今回の受賞ファンドの傾向として、全体の46%が昨年に引き続き連続受賞となった」(渡邊氏)

投資マネー拡大に必要なデフレ脱却と年金制度拡充

パネルディスカッション

 セミナーの中盤では、最優秀運用会社に選ばれた運用会社の各代表が登壇し、「投信ビジネスの現状と展望―マイナス金利の世界でどう生き残るか?―」というテーマで、パネルディスカッションが実施された。マイナス金利導入の影響について、T&Dアセットマネジメント執行役員・運用部門担当運用統括部長の山中清氏は「マイナス金利という言葉のもつネガティブな印象は、投資家の裾野拡大にとって障壁となる。一方でマイナス金利は、高い利回りを求める投資意欲を喚起する効果も考えられる」と話した。

 野村アセットマネジメント執行役専務の猿田隆氏は、運用管理費用の安い投資信託が増加しているトレンドについて「手数料を下げることだけが顧客サービスとは考えていない。顧客対応や運用成果に見合った手数料水準を検討すべき」と指摘した。

 ロボアドバイザー(ネット上の資産運用助言サービス)やフィンテックなど、テクノロジーの活用について、東京海上アセットマネジメントの執行役員・運用本部長の湯沢達郎氏が「マクロ経済や個別企業の調査・分析にテクノロジーを役立てるなど、人と技術の協力でサービスの向上につなげる」と、先進技術への期待を語った。

 スパークス・アセット・マネジメント代表取締役社長の阿部修平氏は、投資家の裾野拡大に向けて、「個人の投資に対する意欲的な姿勢を喚起するためには、デフレからの脱却が必要。加えて、投資の世界で時代を象徴するヒーローが表れることで、投資に対するイメージ転換が起これば、個人の投資行動に刺激を与えるのではないか」と語った。

 特別講演では「投資信託の発展に向けて」というテーマで、投資信託協会副会長専務理事兼投資顧問業界理事の大久保良夫氏が、日本の投信業界の課題について分析した。「個人は『退職後の備え』の意識から資産運用を始めることが多い。米国では、確定拠出年金制度の改変により、加入者の枠組みが拡張されたことで個人にも投資が根付いた。日本でも2014年にNISA(少額投資非課税制度)が導入され、確定拠出年金制度も制度の改正によって進展が見込まれるなど、「貯蓄から投資」を本格的に実現する好機である」とセミナーを締めくくった。

記念撮影
授賞式の最後には、最優秀運用会社と最優秀ファンドに輝いた運用会社による記念撮影が行われた