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最優秀運用会社スペシャルインタビュー 野村アセットマネジメント(4/5)


ニッポンの凄い投資信託 リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016

確定拠出年金 総合部門 最優秀運用会社賞

世界に通用する「ブティック」を目指して
運用の職人が活躍できるグラウンド

野村アセットマネジメント 執行役 専務 猿田隆氏

『マネー・ボール』に見る運用のおもしろさ

――休日は何をして過ごしていますか。

 休みの日はゴルフをすることが多いですね。ゴルフに目覚めたのは、シンガポールに赴任したときです。シンガポールは小さい国で、移動の時間が効率的に使えるので、休みの日には午前中にゴルフをして、午後は会社に行って仕事をして、夜も人との付き合いができる。日本に戻ってきてからも、近くでやれる環境があったので、今も続けています。

 もともと、学生の頃まで野球をやっていたんですよ。体を動かすことが好きなので。

――野球とゴルフのスイングは近いところがあると言われますね。

 人によると思います。止まっているボールを打つのと、動いているボールを打つのとではかなり違います。むしろ、止まっているボールを狙ったところに打つのが難しいと思います。野球のうまい人がゴルフもうまいとは限らないですし。

 今までえらそうにいろいろな話をしてきましたけど、僕が学生のときは、最近の新人とは比べようもなく、投資なんかしたこともない、「株式って何?」という人間でした。とにかく野球しかしていませんでした。

――それがなぜこの業界に入られたのですか。

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 実は最初は野村ではなく、別の信託銀行に入社したんですけど、部活の先輩から、リーグ戦で忙しくなるから早く決めろと言われて決めました。最初は当然営業ですよね。営業で支店に入って3カ月ほど経ち、決して悪い成績ではなかったと思うんですけど、いきなり異動という話になって、行った先が年金運用部というところだったんです。当時はDB(確定給付年金)を運用する部でした。辞令を受けたとき、年金営業部の間違いじゃないですかと聞いたら、違うと言われて。つらかったですよね。1日机に向かってなきゃいけない。個人的に野球選手の分析をしたことがあっても、株や債券の分析なんてしたこともないし、眠くてしょうがなかった。でも人間ってだんだん慣れてくるもので、運用をおもしろいと思えるようになりました。

 人に本を薦めてほしいと言われたとき、必ず紹介するのは『マネー・ボール』(※)という本です。野球のメジャーリーグの話ですが、あの本を初めて読んだとき、僕の中で運用の仕事が、数十年前の経験とつながったわけですよ。ポートフォリオとは、割安株投資とはこういうものだと。『マネー・ボール』に書いてあるアスレチックスの経営は、要は誰も気がついていない割安プレイヤーに投資して、大きく育てて外に出して、球団のお金を増やすという考え方です。それが自分の経験とつながって、運用のおもしろさをより深く感じました。

営業と運用をつなぐ人材になる

 かつて野球のプレイヤーとして、大学ぐらいが限度かなと自覚したときがありました。プロ野球でやる体力もないし、ノンプロでも続かないだろうし。同じような思いを運用でも味わいました。人並み以上にはできる自信はある。でもこれを突き詰めて、超一流でずっといられるかというと、それはわからない。運用の仕事はけっこう地道で、泥臭くて、土日があるようでないような仕事です。それまで運用を15年ぐらいやっていましたが、あるとき異動で離れることになりました。内心は本当にほっとした気持ちでした。

 そのときに何を思ったかというと、当時、2000年代前半のことですが、運用会社には本当にある種の人材がいない、でも自分だったらできるだろうということ。その人材とは、運用のことがわかっていて、それをきちんとお客さまに説明して、納得してもらうという仕事です。当時、営業は営業、運用は運用ということで、おそらくどこの運用会社も運用と営業の意思の疎通が良くなかった。異動で運用を離れることが決まったとき、その両者をつなぐような仕事ができるといいなと思いました。その後、実際にそうした仕事をするようになり、今に至ります。

※マネー・ボール……2003年に米国で出版されたマイケル・ルイスによるノンフィクション。メジャーリーグのオークランド・アスレチックスが、セイバーメトリクスと呼ばれる定量的な指標を用いて「年俸は安いが能力が高い選手」を見出し、必要最小限の投資で弱小チームを強豪チームに変えた話。のちに映画化されるほどの人気を集めた。球界に与えた影響はきわめて大きく、アメリカではほとんどの球団が選手の評価に同様の指標を用いるようになった。