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最優秀運用会社スペシャルインタビュー 三井住友トラスト・アセットマネジメント(2/3)


ニッポンの凄い投資信託 リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016

確定拠出年金 債券部門 最優秀運用会社賞

年金運用の経験が生かされた『コアラップ』の急成長
J-REITやインデックス投資にも強み

三井住友トラスト・アセットマネジメント 取締役社長 鈴木郁也氏

新型バランスファンドとして開発された『コアラップ』

――『コアラップ』の開発コンセプトを詳しく聞かせてください。

 中長期にお客様の資産形成に役立つ商品を目指す中で『コアラップ』が誕生しました。過去のバランスファンドの反省点を踏まえて『コアラップ』の開発を行いました。

 ひとつは、“資産をふやす”ための運用対象の拡張です。2000年前後に設定されたバランスファンドは、投資対象が先進国に限定されたものでした。コンセプトは長期運用だったのですが、世界経済のGDPに占める新興国のウェイトが高まっていく中、得られるリターンも限定的でした。その反省点として、中長期に世界経済の成長の果実をしっかり取れるように、新興国など運用対象を拡張するという考えに至りました。

 もうひとつは、“資産をまもる”ということです。具体的にはリーマン・ショックのようなイベントリスクに耐えうるという考えです。もちろん、あれほどのイベントが起こればどのような商品もマイナスになるのは避けられないのですが、そういうときにもある程度耐えられる、下値抵抗力のある運用商品をつくるということです。

 世界経済は今も全体で見れば安定的に成長しているのですが、昔と比べると、先進国はどんどん成熟化しています。一方で新興国が伸びているとはいっても、その成長には不安定さは伴います。つまり、過去に比べてイベントリスクや、ボラティリティ(変動幅)が激しい局面が発生しやすくなってきています。こうした状況下で大きなマイナスを抑えるためには、下落局面でもある程度収益を確保できるショート戦略(※)も必要だと考えています。つまり運用手法の拡張が必要ということです。

 最後は“資産を見直す”ということです。従来のバランスファンドは、バイ・アンド・ホールド(長期間の買い持ち戦略)といって、商品ができたらそれで一丁上がりということで、資産配分などは原則しばらく維持されるのですが、昨今のようにマーケットの変動が激しい時代にはもう少し柔軟な運用が求められます。『コアラップ』には組み入れている資産を定期的に見直す機能も入れています。

 今後もしっかりとフォローアップし、中長期にわたって保有していただけるコア商品にしていくのが我々の重要な使命です。

顧客本位の商品設計ができる「信託」という制度

――学生の頃から信託銀行に入ることを目指していたのでしょうか。

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 今の学生さんほど真剣に考えてなくて、なんとなく入ったというのが本当のところです。でも入ってからすぐに、信託銀行に入ってよかったと思いました。信託という制度の原点は「信じて託する(託される)」ということで、お客様の財産をお客様の立場で管理・運用する業務なんですね。それだけに責任も重い仕事です。信託とは究極の顧客本位の商品設計ができる制度であると思いました。

 信託銀行ではいろいろとおもしろい仕事をさせてもらいました。例えば「土地信託」。土地を信託銀行に信託して、その土地に建物を建てて、そこから得た収益を所有者に還元する。これを個人でやるとたいへんですよね。建物をつくるためにお金の調達をしないといけない。建てた建物の管理をして、家賃を徴収しなければいけない。そういう業務を信託銀行が一括で受託するという業務です。

 成熟社会になると信託業務が発展するといわれていますが、私が信託銀行に勤務した期間は、日本が高度成長から安定成長に向かう時代で、やりがいを感じて仕事をしていました。

※ショート戦略……株式を「売り持ち」する戦略。例えば、ある株式が株価1000円のときに「空売り」をして、株価が950円に下落したときに買い戻すと、差し引き50円の収益となる。ショート戦略を使えば、株式市場の下落局面でも収益を狙いやすくなる。