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最優秀運用会社スペシャルインタビュー スパークス・アセット・マネジメント(1/4)


ニッポンの凄い投資信託 リッパー・ファンド・アワード・ジャパン2016

投資信託 株式部門 最優秀運用会社賞

GDP上位5カ国の株式部門では史上初、3年連続受賞
アメリカでの刺激的な体験がバリュー投資の原点

スパークス・アセット・マネジメント 代表取締役社長 阿部修平氏

スパークス・アセット・マネジメントと、その創業者である代表取締役社長の阿部修平氏は、いまや日本株の運用で業界でも一目置かれる存在です。若き日にアメリカに渡ってバリュー投資の世界を知り、自ら立ち上げた運用会社は3年連続でリッパー・ファンド・アワードを受賞。その卓越した運用力の原点と、阿部氏の素顔に迫ります。(聞き手・文/編集部)

歴史ある資産運用の業界で「新参」が栄誉

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――リッパー・ファンド・アワードを3年連続で受賞された感想をお聞かせください。

 当社は、2019年7月で創業30周年を迎えます。世界を舞台に大手が激しい競争を繰り広げる金融業界で、私たちのような新参の会社を、この業界の皆様と同様に比較、評価し3年連続で一番と言っていただけたのは、感慨深いものがありますね。これまで一貫して株式の運用を続けてきて、受賞に到る前から続けてきた息の長い活動が評価されたことは、たいへん光栄ですし、当社の投資スタイルを信じてくれている社員たちに対して誇りに思います。

――あらためてスパークスの運用の特徴を教えてください。

 もともと小型株に特化した運用スタイルとして始めました。私は最初に野村総合研究所のアナリストとして働いていて、1982年から85年までは野村アメリカに営業マンとして駐在していました。当時、アメリカのお客さまに教えていただいたのがバリュー投資でした。

 アメリカには1970年台、NYダウ平均が1000ドルをなかなか上回れない横ばいの時代があったんです。1974年にエリサ法という年金の法律が通って、年金基金が株を買えるようになると、年金運用のポートフォリオが、フィックストインカム(債券など、あらかじめ収益が決まっている資産)から、エクイティ(株式など)に移行し始めたんです。ただ株式投資といっても、アメリカは大恐慌を経験しているので安定志向でした。

 ちょうどその頃、証券分析が体系化されました。ベンジャミン・グレアムが『証券分析』という本を出したことで、コロンビア大学など、アメリカの大学の授業でも、証券分析を教えるようになっていきました。

 ファッションで、将来何が流行するかを科学的に分析するのは難しいように、投資でも将来成長する会社を言い当てるのは、難しいのです。しかし、バリュー投資は教育の題材に適していました。例えば、100円の利益を出していた会社が、ここ2、3年は10円しか利益を出していない状況があった場合に、その原因を調べることで会社で何が起こっているのかを分析することは、体系化して教えることができそうですよね。

グレアムとバフェットの理念が基礎

 つまり、バリュー投資が前提としている考え方は、先のことはわからないということです。だからこそ、わかっていることをもって、今の価値を考えようというのです。バランスシートで、どのくらい土地や現金も含めた資産を持っているかを調べることはできるわけですから、そうした調査を通して、将来起こりうる可能性であれば指摘できるのです。

 野村アメリカ駐在時代、お客さまの話を聞いているうちに、日本株になじみのある人が少ないことを実感しました。同時に、若気の至りで日本には大きな投資機会があるとも思ったんです。ちょうど、アメリカでフィデリティなど資産運用業が勃興してきた時代だったこともあって、バリュー投資を日本で実践したいという考えをベースに1989年に始めたのがスパークスでした。

 ただ、日本はその時期から、20年以上も株価は下落傾向でした。「先のことは分からない」を前提としたバリュー投資を行っているからといって、お客さまに対しての説明の質は下げられませんよね。そこで、2、3年、5年といった単位で、ある一定の成果が出るような投資を志向するようになり、たどり着いたのがウォーレン・バフェットです。

 バフェットは、コロンビア大学の教授であり自らも投資家であったベンジャミン・グレアムの元で学ぶために、グレアムが教える大学へ入学後、彼の元で勉強したんですよ。その後、バフェットはグレアムの投資会社でしばらく働き、バリュー投資を学び続けます。

 バフェットはグレアムから学んだバリュー投資をそのまま実践した訳ではなく、バリュー投資を根底にあらゆる工夫を加える中で、ブランドに価値を見出したんです。彼は「ブランドは企業の価値を長期的に守る」と考え、ブランドが強い企業は、市場の価格変動にあまり左右されずに一定の利益を生みだし、安定的に成長できると考えました。

 例えば、当時コカ・コーラは、バリュー投資の考え方では、割安ではなく、正当な価格がついていたんです。しかし、コカ・コーラは非常に優良な会社であり、その優良さというのはブランドによって今後も守られていくことから考えると株価は割安と判断し投資し大成功したのが、バフェットです。

 まとめますと当社は、ベンジャミン・グレアムのバリュー投資をベースに創業しました。その後、私自身がバフェットの影響を大きく受けたこともあり、バフェットの考え方をみんなで勉強し、スパークスの投資を実践するときの行動理念にしてきました。こうした努力が今回の受賞につながっていると思っています。ここまで来るのに、かなり時間がかかりました。