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最先端テクノロジー関連の投資信託は「買い」か?


最先端テクノロジー関連の 投資信託は「買い」か?
最先端テクノロジー関連の 投資信託は「買い」か?

ロボット産業に代表されるテクノロジー関連の投資信託が人気です。各商品の資料を見ていると、いずれも長期的な成長が期待できそうな印象を受けるのですが、一方では「テーマ型ファンドはおすすめできない」という声も聞かれます。最先端テクノロジー関連の投資信託を、個人の資産形成にどう活用すべきなのでしょうか。

「テーマ型」の投資信託が相次いで登場

いわゆる「テーマ型」の投資信託は、その時代の「旬」を象徴する商品として投資家の人気を集めてきました。2000年前後には、インターネット関連企業やバイオテクノロジー関連企業を投資対象とする投資信託が登場しました。近年では「ロボット産業」「AI(人工知能)」「フィンテック(金融とテクノロジーの融合)」といった分野が注目され、関連する投資信託が次々と設定されています。

日興アセットマネジメントの『グローバル・ロボティクス株式ファンド(1年決算型)』は、設定が2015年8月31日で運用期間は1年強ですが、2016年10月31日時点での純資産総額は3669億円と、国内の全ファンド(ETFを除く)の中でもベスト20に入るほどの資産を積み上げています。それだけ個人投資家がロボット産業に注目しているということです。
 また、同ファンドは「1年決算型」と「年2回決算型」の2種類があるのですが、純資産が多いのは1年決算型。分配回数の多い投資信託が根強い人気を集める中で、分配回数が少ない方が売れているのは、個人投資家が長期的な成長に期待していることの表れといえるかもしれません。

ロボット産業のような最先端テクノロジーの魅力は、何といってもその将来性です。次々と革新的な技術が生まれ、新技術は商品やサービスとして実用化され、そこにお金の流れが生じる。個人投資家は投資信託などを通じてテクノロジー関連の産業に投資することで、そのお金の流れを取り込める。それを期待して、投資家はテクノロジー関連の投資信託に投資するわけです。
 とりわけロボット産業については、下記のグラフに示すように、市場の大きな拡大が見込まれています。経済産業省とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)が2010年に調査した古いデータですが、国内のロボット産業の市場規模は20年で6倍ほど成長する見通しが示されています。

■日本のロボット産業の市場規模推計

日本のロボット産業の市場規模推計

出所:経済産業省製造産業局産業機械課「2012年 ロボット産業の市場動向 調査結果概要」

日興アセットマネジメントは「ロボティクス」という特設サイトで、ロボット産業の将来性や投資する意義について紹介しています。確かに、私たちが暮らす社会の未来の姿を想像すると、ロボティクスは長期的に資産形成するための投資対象として有効だといえそうです。

「テーマ型はおすすめできない」と言われる理由

ところで、インターネットで「テーマ型ファンド」という言葉を検索すると、検索結果には「テーマ型はおすすめできない」などといった後ろ向きな見出しが並びます。主立った論調は「テーマ型ファンドは値上がりが長続きせず、一過性のブームに終わることが多いため、長期投資に向いているとはいえない」というものです。
 ロボット産業のような最先端テクノロジーは成長余力が大きく、長期的な投資テーマとしてふさわしいように思えますが、なぜ「長期投資に向かない」と言われるのでしょうか?

その答えは、投資信託の投資対象が株式であり、株価は必ずしも産業全体の成長度合いを正確に反映するとは限らないことです。
 端的に言うと、「ある産業が過度に注目されると、企業の実力以上に株式が買われる」という現象、つまりバブルが起きやすいということです。
 下記のイメージ図で示した通り、株価が大きく上昇しているときに投資信託を買った場合、産業全体の売上高や利益が順調に成長を続けたとしても、投資家は売却タイミングによっては損失を被ることがあります。

■産業の成長と株価(基準価額)の推移のイメージ

産業の成長と株価(基準価額)の推移のイメージ

テーマ型の投資信託が注目を集めるのは、ほとんどの場合において、ブームが起きてしばらく経過してからです。販売会社にとっても、ひとたびブームが起きれば商品が売りやすくなるという現実があります。この時点ではすでに株価が割高になっていることが多く、もちろんそこからさらに株価が上がり続ける可能性もあるのですが、やがてブームは沈静化し、株価はしかるべき水準まで下がっていきます。その水準が企業の実力を正しく示しているとしても、買った時点での株価が相対的に高ければ、投資家にとっては含み損となってしまいます。評論家がテーマ型ファンドを積極的に勧めないのは、このような構造があるためです。

「企業の成長」と「株価の動向」は分けて考える

長期的には株価は企業の業績に収れんしていくと考えられますが、短期的には一時のブームやさまざまな外的要因によって乱高下します。「企業の成長」と「株価の動向」はある程度分けて考える必要があります。2000年前後に起きたIT(情報技術)バブルが典型的です。当時、世界的にインターネット関連企業の株式が熱狂的な人気を集めましたが、バブルは長続きせず、やがて株価は急落しました。

netWIN ゴールドマン・サックス・インターネット戦略ファンドAコース(為替ヘッジあり)』という投資信託があります。設定は1999年11月。ITバブルのまっただ中です。当初の運用成績は好調で、2000年3月には基準価額が13745円まで上がったのですが、同年夏から徐々に下落を始め、バブル崩壊後の2002年10月には2104円まで下がりました。下落幅は85%に及びます(同ファンドは分配金を払い出していないので、基準価額がそのまま同ファンドのトータルリターンを表します)。
 ただし、IT産業そのものが斜陽になったわけではありません。今もなお技術革新が進んでいるホットな分野です。同ファンドも2008年のリーマン・ショック以降は順調に値上がりしており、2016年10月28日時点の基準価額は9635円と、設定時の水準に近づいています。仮に最安値をつけたときに同ファンドを買っていれば、4.5倍以上に値上がりしたことになります。この成長力は、先進国株式のインデックスファンドでは望めません

三菱UFJ国際投信の『グローバル・ヘルスケア&バイオ・ファンド(愛称:健次)』は、医療やバイオテクノロジー分野は長期的な成長が期待できるということで2004年2月に設定され、当初から運用成績も良かったのですが、純資産はなかなか伸びませんでした。それが2013年に基準価額が大きく伸びると人気も急速に高まり、2014年以降は純資産も急成長しました。ただし、2015年夏以降は基準価額が下がり気味で、足元では勢いがやや鈍っています。ブームがひと段落し、市場が「適正な株価」を探っている段階なのかもしれません。

うまく活用すれば、資産形成の有効な手段に

ロボット産業などの最先端テクノロジーが長期的な投資テーマとして魅力的であることは確かです。しかしそれは必ずしも「長期保有すればいい」ということを意味しません。投資信託経由などで資産運用で活用する際は、ブームに乗ってまとめ買いをするのではなく、値下がりしたときに買い足す、あるいは定期・定額で積み立て投資をするといったスタイルで、高値づかみを避けながら長期的な成長を期待するのが良さそうです。ある程度値上がりしたら、一部を売却して利益を確定させることも必要かもしれません。
 最先端テクノロジー関連の投資信託は、使い方次第で資産形成の有効な手段になります。市場動向や基準価額の動きに注目しながら、きめ細かな運用を心がけたいものです。

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