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編集長のNISAdeのほほん投資日記

第4回 「英国EU離脱ショック」で日本株投信は売られたのか? 買われたのか?

2016年7月1日

株式市場を揺るがした「英国のEU離脱」

2016年6月24日は、投資家にとっても実にたいへんな一日でした。

英国で行われた、EU(欧州連合)からの離脱を問う国民投票。離脱に賛成か反対か、英国民の意見は拮抗していましたが、開票直前まで残留派が優勢という報道が多く、マーケットにも「残留するのではないか」という雰囲気がありました。
ところがふたを開けてみたら、「離脱」票が優勢でした。24日は日本時間の午前から開票が進められ、開票状況を英BBCのウェブサイトで見ていたのですが、その推移に合わせて日経平均株価も大きく動いていました。
「離脱」票が優勢と見れば、日経平均は下がっていく。「残留」が優勢になると株価は反発する。票数に合わせて日本株を自動売買するプログラムでも組んであるかのような株価の動き。昼頃に大勢が決して、「離脱」の過半数超えが決定的になると、株価とドル/円の為替は坂道を転げ落ちるように下落していきました。終わってみれば、この日の日経平均株価は前日比1286円安という史上8番目の下落幅となりました。

6月30日時点では日経平均株価はいくぶんか戻っていますが、いまだに国民投票前の水準を大きく下回ったままです。もっとも、リーマン・ショックのときのように大手金融機関が破たんしたり、複雑な金融商品に起因するリスクがあるわけでもないので、「英国EU離脱ショック」の影響はそこまで大きくならないと思っています。とはいえ、まだまだ世界経済の先行きは不透明なので、どの投資信託を買うか決めるのは来週まで先延ばしにしたいと思います。

投資信託の狼狽売りはなかった

株価が大幅に下がった日、投資家は国内株式型の投資信託を売ったのか、買ったのか、あるいは何もしなかったのか。気になったので調べてみました。
主な投資信託について、英国の国民投票の前日に当たる6月23日と、国民投票の結果が出た翌週の6月27日の基準価額と純資産総額を比較して、下落率を算出したのが下の表です。

国内株式に投資する投資信託の基準価額と純資産総額の下落率の比較(2016年6月23日~27日)

国内株式に投資する投資信託の基準価額と純資産総額の下落率の比較

日経平均は5.72%、TOPIX(東証株価指数)は5.62%下落しました。このような状況では、どんなに優れた運用をしていてもファンドが値下がりするのは仕方ありません。
ここで挙げたアクティブ型の投資信託のうち、下落率が日経平均を上回ったのは『さわかみファンド』のみ。最も下落率が低かったのは『JPMザ・ジャパン』でした。ただし、この違いはファンドの運用方針や、各ファンドが保有する個別銘柄の性質によるものであり、この数字だけでどの商品が優れているかは一概には判断できません。

あれだけ一気に株価が下がれば、投資信託の狼狽(ろうばい)売りも相次いだのかなと思っていましたが、ここで挙げた投資信託に限ればそうした傾向は見られませんでした。表の右端に示した「価格変動の影響を除いた増減率」は、基準価額が変動しなかったと仮定した場合の純資産総額の増減率ですが、いくつかの商品でプラスになっていました。つまり英国の国民投票の前後で、投資信託の購入が売却を上回ったということです。
増減率がマイナスの値を示した、つまり「売られた」投資信託も下落幅はわずかなものでした。いわゆる狼狽売りは、全体で見ればほとんど起きていなかったことになります。

同じインデックス型でも、通常の投資信託と、株式と同じ仕組みで売買するETF(上場投資信託)でほとんど変わらなかったのは興味深い点です。なお、これらのファンドの騰落率が日経平均の騰落率と0.01~0.02ポイントずれていますが、「英国EU離脱ショック」の混乱で市場平均に連動する運用が難しくなり、ファンドのパフォーマンスと市場平均との差(トラッキングエラー)が一時的に大きくなったのかもしれません。

投資信託によって異なる投資家の行動

先ほどの基準価額と純資産総額の下落率の関係を視覚化したのが下の図です。

分布図

右上に位置するのが「買われた」投資信託で、左下が「売られた」投資信託です。中央の斜線から離れるほどより多く買われた、あるいは売られたことを示します。

インデックスファンドや、アクティブ型でも『ひふみプラス』や『ニッセイJPX日経400アクティブファンド』を持つ投資家は、株価の下落をチャンスととらえて買い増した人が多いと考えられます。ほかのアクティブ型ファンドの投資家は、「投資は長期で考えるもの」という考えのもと、売りも買いもしない泰然自若な人が多かったのかもしれません。保有する商品によって、投資家の行動も異なるようです。

リーマン・ショック級の危機が訪れたら株式型の投資信託を手放すことを考えるべきですが、今回の「英国EU離脱ショック」については、国内株式市場にとってそれほど大きなショックではないと、多くの個人投資家は考えているようです。